vol.8欠損補綴について

「あなたの歯は残せません」そう言われたら?
欠損補綴(けっそんほてつ)ってなに?
『補綴(ほてつ)』という言葉、聞きなれない方も多いのではないでしょうか。
歯科治療における補綴とは、歯が欠けたり、なくなった場合にクラウンや入れ歯などの人工物で補うことをいいます。古くは、紀元前2000〜1000年のエトルリア人の墓地から発掘された入れ歯があります。日本でも、奈良時代から入れ歯があったといわれていますので、昔から行われてきた治療法といえます。
今回はその補綴の中でも、例えば、ムシ歯や歯周病、かみ合わせが原因で失ってしまった歯を補うための『欠損補綴』についてみていきたいと思います。
<目次>
治療方法は大きく分けて3つ:ブリッジ/入れ歯/インプラント
1.ブリッジについて
治療のステップ
費用
2.義歯(入れ歯)について
(1)部分床義歯(部分入れ歯)
(2)全部床義歯(総入れ歯)
治療のステップ
費用
3.インプラントについて
治療のステップ
費用
治療方法は大きく分けて3つ:ブリッジ/入れ歯/インプラント
もしあなたが「この歯は残すことができません」「抜くしかありません」と言われ、抜歯することになったとしたら。あなたの歯を補う方法は、大きく分けて3つです。
それは、
・ブリッジ
・義歯(入れ歯)
・インプラント
です。この中の1つ、あるいはこれらを組み合わせて、失った歯の機能を補っていくことになります。
こちらでもご紹介している通り、例え歯を抜かなければならなくなったとしても、「抜けたまま」の状態で放置することは、決してしないで下さい。
長い時間放置し続けると、他の歯を失うことにもなりかねません。
歯を失った際には、これらの3つの中からご自身に合った治療をできるだけ早く受けられることをお勧めします。
1.ブリッジについて

1~2本の歯を失ったら。
歯が1~2本なくなった場合、なくなった両隣の歯がしっかりしている時に、両隣の歯を支えとして人工の歯を橋のように架けるものをブリッジといいます。
歯の根(歯根)がしっかりしていれば、歯根に土台(金属などで作製します)をたてて、冠をかぶせるために型をとり、ブリッジを造ってセメントでつけます。
治療のステップ
①口腔内の型取り、ブリッジの設計
②両隣の歯を削る。仮歯の作製
③型取り、かみ合わせの位置の記録
④ブリッジの完成、装着
複雑な場合や歯の形態、色調を検討する場合は、ステップが追加で必要となります。
ムシ歯や歯周病の進行状態によっては、ブリッジができない場合があります。

治療費
ブリッジの治療には、保険診療と保険が適応されない保険外診療があります。
保険診療の場合には、保険で決められている材料を使用します。保険外診療の場合には、そのような制限はありません。例えば、歯の色をつくる材料としては、保険で樹脂材料(コンポジットレジン)を用いますが、保険外ではセラミックを用いることができます。
2.義歯(入れ歯)について

複数~全ての歯を失った方へ。
残存歯の有無で、部分床義歯(部分入れ歯)と全部床義歯(総入れ歯)に分けられます。
(1)部分床義歯(部分入れ歯)
「複数本なくなった歯やなくなった骨の一部を補い、形態や見た目の不良を回復するための入れ歯」
部分入れ歯は、生まれつき歯が少なくて隙間が広く開いていたり、ムシ歯や歯周病、あるいは事故、手術などで歯や骨の一部がなくなった場合、そのなくなったところを補う装置のことです。これによって、形態や見た目の不良を回復し、食事やしゃべりやすさを改善します。
(2)全部床義歯(総入れ歯)
「上顎または下顎の歯をすべて失った場合の入れ歯」
人間の歯は、智歯(親知らず)を含めると、上下左右全部で32本の歯があります。これらが何らかの原因で抜けていき、歯が一本もない人を無歯顎者呼びウます。
治療のステップ
① 口腔内診査、医療面接
② 印象採得、型取り
③ 咬合採得、かみ合わせの位置の記録
④ 試適
⑤ 完成、装着
治療費
保険診療と保険が適応されない保険外診療があります。
保険診療の場合には、入れ歯の大部分を構成する「レジン床」と呼ばれるプラスチックの樹脂の種類、または歯の欠損数によっても費用は異なります。
保険外適用では、入れ歯の大部分を構成する部分が、金属(チタンなど)になります。
複雑な場合や残存歯・顎骨の状態を検討する場合は、ステップが追加で必要となります。
ムシ歯や歯周病の進行状態によっては、まずその治療を先に行ってから行う場合があります。
3.インプラントについて

金属を埋め込んだ人工歯根の上に人工の歯をつくります。
人工歯根とも呼ばれ、歯がなくなったところ骨に主にチタンなどの金属を埋め込み、その上に人口の歯を作る方法です。インプラントの埋め込みには外科手術が、また骨としっかりくっつくためには期間が必要です。顎の骨の量が十分にあること、骨の質に問題がないことが前提になります。
治療のステップ
① 口腔内診査、医療面接
② CT撮影検査(顎骨の量、質を見るため)
③ 一次手術
④ オッセオインテグレーションの期間
⑤ 二次手術
⑥ 個人トレー作製
⑦ 印象採得
⑧ 咬合採得
⑨ テンポラリーアバットメント装着
⑩ かみ合わせ、清掃性、形態の確認
⑪ 最終補綴装置の作製
⑫ 最終補綴装置の装着
治療費
保険外診療になります。
最後に
次回の豆知識ブログでは、
「入れ歯」と「インプラント」を組み合わせた、
「インプラントオーバーデンチャー」という治療法についてご紹介させていただきます。
そちらもご参考にしていただき、ご自身に合った治療法決めていただければと思います。